自転車事故で併合8級の被害者について、虚偽の事故態様を主張した加害者に対し慰謝料の増額が認められるとともに、確定申告をしていない収入についても賠償を受けることができた事案

概要

 

被害者の属性 60代 男性 無職
事故の分類

自転車を運転中に右折進行してきた車と衝突

負傷部位 顔面,肩
傷病名 顔面挫滅創,左肩峰骨折等
後遺障害等級 併合8級

依頼のきっかけ

 事故直後の加害者の不誠実な対応に不安と憤りを感じ,ラグーンへ来所されました。
というのも,被害者は自転車を青信号に従い進行していたにもかかわらず,加害者は被害者側の信号は赤色であったと主張をして,責任を逃れようとしているという事案でした。実際に,加害者が無責任な態度を取り,加害者加入の任意保険会社に対しても保険利用の意思表示をしなかったことから,スムーズな治療費の支払対応がなされていない状況でした。

後遺障害等級認定までのサポート

 ラグーンでは,速やかに,加害者に対して,通知書を送り,今後のすべての対応を弁護士が行うこと,事故状況からして加害者に法的責任が認められることは明白であることを主張しました。

 通知書が加害者に届いたところ,加害者は一転して保険利用の手続きを取ったため,治療費の支払対応がなされないという問題についてはすぐに解決しました。

 その後,捜査手続等で,加害者の「被害者側の信号は赤色であった」との言い分が客観的事実関係に反するものであったことが判明しました。

 加害者の法的責任は明白になりましたが,次に,損害内容が争点となりました。加害者側の保険会社は,被害者が自営業で確定申告をしていない所得があったため,被害者の収入について争い,十分な休業損害の支払いをしてくれませんでした。

 これにより被害者や被害者の収入で生計を維持していた家族の生活は困窮する事態に陥りました。そこで,ラグーンでは,少しでも安心して治療に専念してもらうために,速やかに,被害者の取引先の協力のもと現実収入を明らかにするとともに,被害者が手元に保管していた客観的な資料で休業損害の発生を立証することにしました。

 資料をまとめて,加害者の任意保険会社へ提出したところ,全額とまではいきませんでしたが,生活を維持するのに必要な休業損害を定期的に支払ってくれるようになり,被害者は治療に集中することができました。

 治療を継続した後,可動域制限等の症状が後遺していたことから,被害者請求を行なったところ,肩関節の機能障害について10級10号顔面部の醜状痕について9級16号として,併合で8級の認定がなされました。

 

交渉の経緯

 主な争点は,慰謝料の増額事由の有無,基礎収入の具体的な金額でした。

 慰謝料については,通常の相場よりも増額した金額を請求しました。事故直後の加害者側の対応があまりに不誠実で,これによって円滑な治療を受けられず,精神的苦痛は甚大であったことを主張しました。これに対して,加害者側の保険会社は,当初,難色を示していましたが,粘り強く説得した結果,慰謝料の増額に応じるようになりました。

 その他にも,前述のとおり,被害者は自営業で確定申告をしていない所得があったため,後遺障害逸失利益の算定の基礎となる基礎収入の金額が争点となりました。しかし,当方から裁判例等を示すことで,確定申告をしていなくても申告所得額以上の基礎収入が認定されるケースはあること,本件では相応の収入を得ていたことが推測できることを説明し,概ね当方の主張どおりの基礎収入を認定してもらうことができました。 

弁護士の目

 事故によって気が動転し将来の不安を抱えている状況であるにもかかわらず,加害者が不誠実な対応をとるという事案に直面することは多くあります。このような不誠実な対応について,慰謝料を通常の金額よりも増額して支払うべきという考えがあり,一般論としては裁判例でも認められているところです。

 しかし,具体的な事例で,慰謝料の増額が認定されるケースは,加害者の不誠実な対応を立証することが難しいこともあり,あまり多くありません。

 ラグーンでは,被害者の方の言い分をよく聞き,慰謝料の増額事由が認められるか否か慎重に検討し,認められる可能性がある事案では積極的に加害者側に慰謝料の増額を主張するようにしています。そのようなスタンスが奏功した事案でした。

 また,自営業者の基礎収入については,会社員と比べて,争いになりやすい印象です。特に確定申告をしていない収入については,裁判でも認定されるケースはかなり限定されます。本件では,訴訟リスクも考え,つまり裁判をした場合,基礎収入額が当方の言い分通り認定されない可能性もあることを踏まえて,裁判外での早期解決のほうが望ましいと判断をし,取引先の協力(日当支払いの証明書)や手持ち資料(帳簿等)を整理して,丁寧な立証を心がけました。その結果,裁判外で,申告所得額以上の基礎収入を認定してもらうことができました。

 事故直後から弁護士へ依頼していただいたことで,治療費の不払い,休業損害の未対応,適正でない賠償額の受領といった様々なリスクを防止できた大変やりがいを感じる事案でした。 

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